営業の存在意義を改めて考えさせられる出来事があった。ご自宅を売却に出された直後、転勤先の関東で気に入られた土地を購入されたM様。
急ぎ売却を進めなければいけなくなった状況下、200万円の値下げを提案したが、「本当に今このタイミングで値下げが必要なのか?」とM様は疑いを持たれ、話がまとまらなかった。
下げた方がいいのは間違いない、そう思ってはいたが、「本当に?」と聞かれると、そこまで強くは言えなかった。
値下げをして売れなかったら、お客様にとっては200万円の損失になる。
そのとき私は責任を持てるのか?という不安が少なからずあったからだ。
どっちつかずの私に対するお客様の苛立ちは、痛いほど伝わってきていた。
そのとき上司より助言を頂いた。
「お前が『下げたくなかったら、下げなくてもいい』っていうスタンスやったら、お客様が揺らぐのは当たり前や。『私は責任を持てません』じゃないねん!お客様の人生に責任を持つのが営業やろ」。
改めて状況を整理し、値下げが本当にM様にとって良い選択肢なのかを考えた。結論は変わらない。私は強い意志を持って精一杯M様の背中を押した。
M様は「Uさんがそう言うなら」と納得された。価格変更後、すぐに物件は売れ、お買換えは成立した。契約後すぐ、M様からメールを頂いた。
「この度は、契約成立までご尽力頂き誠にありがとうございました。色々とご心配・ご迷惑をお掛けし、Uさんにもご無理を申し上げ、本当に申し訳ないと思っています。
(中略)
結果論ではなく、Uさんにご担当頂き、本当に良かったと思っています。
我々が関西を離れる荷出しの最終日に嫌な顔を一つせずにお付き合い頂いたとき、ぜひUさんに最後までお願いしたいと思いました。
特に営業の方は人柄や雰囲気って大事だと思います。私の判断は間違っていなかったと改めて今、思います。
(中略)
ご支援頂いた上司の方や周りの方々にも宜しくお伝え下さい」
心から喜んでいらっしゃることがわかり、嬉しかった。ただお客様の希望や意向に沿うだけでは、必ずしもお客様の幸せには繋がらない。
土地探しのポイントにも書かれているように、営業には熱意と誠実さが必要不可欠である。
本当にお客様にとって良いと考えたことに、自分が責任を持つこと。それが私という営業の存在意義ではないかと思った。